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建築構造委員会

鉄骨造の計算ルートについて

2014-02-03

 鉄骨造の計算ルートについて

 
鉄骨造の計算ルートは、大きく分けて3つ、即ちルート1・ルート2・ルート3が有ります。
ルート1には、ルート1-①と1-②がありますので、細かく言えばルートは、4つとなります。
勿論、計算ルート以外の小規模建物と時刻応答解析(超高層建築物)や限界耐力計算、
特殊な構造として国土交通省大臣が定める構造計算は、このルートから除かれます。
以下、我々が一般に設計業務で遭遇するであろう建物を対象に説明を進めます。
 
(各ルートの対象規模)=スパン・面積・階数・軒高等によるもの。
・ルート1-① 階数3以下、高さ13.00m以下、軒高9.00m以下、スパン6.00m以下、500㎡以内
・ルート1-② 階数3以下、高さ13.00m以下、軒高9.00m以下、スパン12.00m以下、
                     且つ平屋の場合3000㎡以内。2階建ての場合500㎡以内。
・ルート2  上記の制限なし。
・ルート3  同上(但し、保有耐力計算が必要。)
 
(各ルートの構造制限)=構造計算上の各種制限。
・ルート1-①の場合
   地震時の水平震度係数 Co=0.3、筋違軸部・接合部を保有耐力接合とする。
・ルート1-②の場合
   地震時の水平震度係数 Co=0.3、筋違軸部・接合部を保有耐力接合とする。
   柱、梁が局部座屈しない。幅厚比の制限。
   柱、梁の保有耐力接合。
   梁の保有耐力横補剛の確保。
   柱脚部と基礎の接合部の十分な強度又は靭性の確保。・・・・・A
・ルート2の場合
   筋違応力の割り増しによる許容応力度設計。
   筋違軸部・接合部の保有耐力接合とする。
   柱・梁の幅厚比の制限。
   柱・梁仕口部の保有耐力接合。
   柱継手・梁継手の保有耐力接合。
   梁の保有耐力横補剛の確保。
   柱梁耐力比の確保。
   柱脚部と基礎の接合部の十分な強度又は靭性の確保。・・・・・B
・ルート3の場合
   保有耐力の確認。
   塔状建物の場合のみ、転倒の検討を要する。
 
※A並びにBは、露出型柱脚の設計ルートに対応しており、アンカーボルトの伸びの有無により、
 考え方が変わりますので、注意が必要です。
(ルートの選択)
上記の説明から、構造・規模・高さ・スパン等により、計算ルートは、自動的に決まってしまう様な
イメージがありますが、そうではありません。
より上位のルートを選択することは、全く問題ありませんので、
ルート1-①の建物をルート3としてもOKです。
特に、ルート1-①及びルート1-②は、地震時の水平せん断力係数Co=0.3となっていますので、
ルート2とルート3の1.5倍の地震力を考慮して計算しなければならない為、
部材メンバーや配筋を考えた場合、上位のルートを選択した方が小さくなる場合もあります。
(実際には、ルート2の場合、柱・梁耐力比1.5の規定がありますので、平屋建て以外には、柱メンバーが
 確実にUPすると思われますが・・・。)
更に、構造上のスパンや軒高さの制限もなくなりますので、設計の自由度が増す可能性もあります。
但し、ご存知の通りルート2とルート3は、申請手続き上適合判定の対象物件に該当することになりますので、
申請費用や申請期間は、確実にかかるという事は否めません。
又、計算ルートに係わらず、大臣認定プログラムにより構造計算を行った場合も、
適合判定の対象物件となります。
 
(適合判定について)
以前は、適合判定に時間がかかり、確認申請がおりるまでに2・3ヶ月ということもありましたが、
最近は、適合判定機関も増え、審査や手続きもスムーズになっています。
 
(ルートを考えるポイント)
設計業務や申請手続き、工期や工事費を考えた場合、これらの計算ルートは、
実務上において非常に大きな影響を与える可能性がありますが、本来の建築物の必要なスペックを
制限してまで、計算ルートを下げる事が、オーナーさんの要望に応えることかどうかは、
我々建築士が真摯に考える必要がありますし、構造上複雑な挙動をすることが想定されるような建物は、
規模に関係なくより高次なルート3を選択して、保有耐力設計をしておく事も大事なことであると思います。
 
(ルート以外の大切な事。=構造設計者からのお願い)
ここまで、鉄骨造の計算ルートについて、色々と説明してきましたが、
各ルートの計算方法の全ての内容をご理解して頂く事は、実際の計算をしてみないと難しい事と思います。
しかしながらご自分が設計される建物がどのルートにあてはまるかが、分かって頂ければ、
構造設計者がその物件の構造設計や計算のまとめにどの位の手間と労力がかかるのかが
ご理解頂けると思います。
以下、ルートに関係ない構造設計者からのお願いです。
・計画段階で、構造計画に時間を割いて下さい。
・出来得る限りシンプルな設計を検討して下さい。
・複雑になれば、なるほど無理と無駄が生じ、構造計算の手間(時間・労力)が掛ります。
・柱抜けや梁抜け吹抜け等は、構造的に不安定になります。
・構造計算や構造図作成に余裕を持って下さい。時間がないと間違いと修正・訂正が増えます。
・構造設計者が作成した図面や計算書に必ず目を通して下さい。疑問があれば必ず確認して下さい。
・どんなに小さい物件でも、構造計算をしなくていい建物は、ありません。
 確認申請等に添付が必要か否かの二つが有るだけです。必ず、計算をするものだという事を御理解下さい。
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